書評「遺伝子があなたをそうさせる」

数年前に購入した水色蛍光ペンだらけの本です。発売が10年以上前で古いっちゃ古いですが「遺伝子の不都合な真実」に比べたら、 淡々と当時の事実のみ書かれていて情報量は圧倒的です。

興味深いのはサンプル数が統計的には足りなさそうですが、孤児院?に預けられた子供が、母親役を努められるであろう人間と接触すると孤児達は成績が伸び学校を卒業した後に自立出来たそうです。

接触しなかった子達は成績は下がり続け自立出来なかったそうです…。
さらに驚くべきは母親役を努められた人達は精神延滞(知的障害のこと)だったそうで。人間が成長するには賢い母親である必要はなく、愛情的接触が一番必要だと著書は書いています(構いすぎてもまずいので休ませる時間も必要だとか)

教育ママさん、お子さんの成績を上げたければスキンシップや一緒に遊ぶのがいいみたいですよ。まぁ当たり前っていったらそれまでだけど。他の遺伝子関連の本によると塾など習い事は10%程度の伸びしか期待できないそうですから。

あと虐待などの悪い教育ほど最大限悪影響を及ぼすそうです。反社会的な行動をとりやすくなる。サルの実験で虐待だかされたサルは、弱ってる他のサルをみると暴力的になったとか。(通常サルは弱ってるサルに暴力的にならないそうです)人間もされたことしか出来ない生き物かもしれませんね…。

遺伝学者だからなのか躁鬱病の近年増加理由が単に流行であること(正常を救え参照)と昔はなかったはずの2型が入ってること(心の病の流行と精神科治療薬の真実)に触れず、遺伝関係ある躁鬱病増加はなぜだかという記述は少し気になりましたが。

それから軽いストレスだと太り、強いストレスだとやつれるそうです。

著書は全体を通して「それでもあなた次第」ということを繰り返しています。
遺伝的に幸せなはずの人があまり幸せではなく、遺伝的に不安気味なはずの人が幸せという恐らくレアケースと思われる事例も紹介してくれています。

プロザックの矛盾にも少し触れてます…私はSSRI全般信用してませんが(トリプタノールなどの初期抗うつ剤は別として)

最新書じゃないけど、まだこの本は何回も繰り返し読めると思います。翻訳もスムーズで???ということがありませんでした。