my初耳学「統合失調症への中枢刺激薬の使用」という治療?

私は境界で抗精神薬を処方される期間が長かったので統合失調症の動向も気にはなる。子供の章内にあったため読み飛ばしてた。

ヒーリー精神科治療薬ガイドp.187~188にて
統合失調症への中枢神経刺激薬の使用」
という項目があった(子供に関する章内だったため飛ばしてた)ので重要そうなところを引用する。

統合失調症ドパミン仮説を支持する考えとしていつも持ち出されるのが,中枢刺激,特にアンフェタミンは,著しい被害妄想と思考障害を特徴とする精神障害を引き起こすことがあるという議論だ.ここで言われる精神障害の状態は統合失調症のそれとよく似ている.中枢刺激薬はドパミンの神経伝達を亢進し,抗精神病薬はそれを阻害するので,理屈としては──中枢刺激薬が精神障害を引き起こすことは,やはり統合失調症ではドパミンの働きが過剰なことを示唆する.したがって統合失調症の人に中枢刺激薬を投与するのはまずいということになる.
しかし事実は理論よりもあいまいである.第一に,かなりの証拠に基づいて"統合失調症患者"の3分の1程度は中枢刺激薬の投与で調子が良くなるといえる.
第二に,統合失調症という病名が付いている人(あるいは抗精神病薬の投与を受けている人)が実際にすべて統合失調症とは限らないこともよく知られている(十分な根拠がある).また,子どものときに多動だった人の中に,後年,精神病性の障害を発症するケースがときどきあることも証明されている.そうなると今度は,抗精神病薬の投与を受ける可能性が高いが,この薬は多動に有効な中枢刺激薬とは反対の働きをもつ.というわけで,理論的には抗精神病薬はこの場合,その患者の障害を悪化させるおそれがある.

(中略)
こういったことを扱った文献はわずかしかない .だが中枢刺激薬と併用することで,抗精神病薬の副作用を抑えることが,多くの症例で可能なのではないだろうか.これはクロザピンのような非定型抗精神病薬が存在するいまなら理解しやすい.神経遮断薬の場合,しばしばフィルター理論の観点から,その効果は受容体遮断作用に依存すると説明されてきた.だが非定型抗精神病薬の場合,何種類もの受容体への遮断作用のうち一種類だけが覆されてもそれほど困った事態にはならない.
たとえば,抗精神病薬が意欲の喪失を引き起こしている場合,投与量を減らすとともに,中枢刺激薬を加えることによってよい効果がみられるかもしれない.
中略

一般的に言って,中枢刺激薬が役に立つと考えられるのは,ドパミン遮断作用に感受性をもつ人たち(おそらく一般人口の5〜10%)のようである.これらの人たちは,比較的低容量の抗精神病薬で著しい運動性の副作用や意欲喪失が生じる.このような人たちにとって抗精神病薬の服用はかなりの苦痛を伴うものであり,長期的には精神保険の上でも有害である.」

うーん、ちょっと難しいけどドパミン過剰になる(陽性症状)のはそもそも出るべきとこで出てない(陰性症状)から代償機能が働くわけで(だから陰性症状しかない単純型統合失調症なるものが稀にあって本質は陰性症状といわれる)、それを考えるとありなのかもしれないし

場末P科医ブログの未成年への云々part1で他の国で抗精神薬と中枢神経刺激薬が併用されてて意味不明な処方と書かれてたがこういう↑ことなのか?

日本版治療ガイドラインにはこのことは載ってないんだよね…お医者さんがこの本を買って読んでくれることもほとんどないだろうし。クソ難しい部分もあるが副作用に悩む患者向けの本だから。

だがヒーリーは無責任にやみくもに断薬を勧めてはいない。一貫してメリットがリスクを上回るなら子供でも飲むべきと書いている。